新説時代劇集忍者猿飛1巻"西風"感想

"GT roman"で有名な西風先生による,猿飛佐助を主人公にした講談風時代物。これまで車マニアを題材にした漫画を多く手掛けてきた作品とは,作風がガラリと変わりってるが,登場人物の天然ボケの間合いは健在で,大いに笑わせてくれました。

心の中で自信満々に相手の行動を読んでいて,期待はずれな所なんかはものすごく西風らしいです。

 本作は,忍者ものだけあって戦闘シーン多い。戦闘シーンでのスピード感の出し方が,自動車レースシーンで培ってきた技術おかげなのか,ものすごく上手い。

 上側のページでは、縦幅狭く,それに比して横幅が広いコマ割りとなっている。普段,縦に並んだ文字列を読み慣れているせいか,縦長の絵は,一瞬で全体としてとらえる事ができるが,横長の絵は,視線を横に動かして全体を理解しないといけない。そのため,視線の動きに合わせて時間の停滞を産ませる。上のページでは,横長のコマを使うことで老人と忍者がゆっくりと間わいを取りながら,ゆっくりとした時間のながれのなかで攻撃を仕掛けるタイミングをうかがっている,時緊張感あるシーンを演出している。また,時間の流れを遅く感じさせることで,次のページのスピード感あるシーンをより早く感じさせる布石となっている。
 次のページでは,コマの割り方が転調し,小さいコマと大コマの組み合わせ,時間に緩急を付けながら大コマによる見せ場をつくっている。小さいコマは時間を早く感じさせる効果がある。一瞬一瞬の細かい動作を小さいコマに書き入れ,瞬間的な攻防を描きつつ,短い止まっているような時間の流れるつくる。その後に大コマを持ってきてくると,部分で一気に時間が流れるたような感覚になる。ここでは大コマを使い,老人と忍者が大きく動いているような印象を与え,躍動感のあるシーンを演出している。

 *今日撮った写真