解剖医ハンター2巻感想

解剖医ハンター 2 (リュウコミックス)

解剖医ハンター 2 (リュウコミックス)

 18世紀末に生きた,解剖医で博物学者で墓荒らし奇人ジョン・ハンターが,人々を恐怖のどん底に陥れている謎の「獣」に対して科学のメスを入れる。
 時代は,産業革命が始まり、科学・産業が大きく発展し,迷信や宗教の力が衰え始めた時代。人々の生活や思想が大きく変わり始めた混沌とした時代の宗教・迷信・科学の対立をテーマとして,この時代の人物や事件を上手く使い,当時もしかしたらあったかもしれない事件を想像させる。絵が濃く緻密で全体に暗めので,今回のテーマにすごくあっていて,読んでいてストーリーを十分楽しめた。


このシーンは,「獣」がどのようなものかを月光協会で話合うシーンです。上の大コマで右を向いているのが質問者。それに対して,答えるように左に向いているのがジョン・ハンターです。このコマは,左上の人物が左を向いていることによって読者の視線を左へと誘導し,ジョンハンターの回答へと移し,そのあと直すぐ次の質問者へと読者の視線が移動するように意識した構図になっている。そのことにより,質問者とジョン・ハンターとの議論が進むにつれ「獣」の全貌が明らかとなるようになっている。この構図はよく考えられるなー。ただ,大コマ中の最後の小コマは,質問者にして,左下視線を向けて,左下のコマでジョン・ハンターが自信満々に答えるようにしてもよかったんじゃないかな?