泣き虫弱虫諸葛孔明1・2巻 感想
- 作者: 酒見賢一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/10/09
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- 作者: 酒見賢一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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後宮物語でデビューした酒見賢一氏の三国志物語。本人は,後宮小説をファンタジー小説として書いたつもりであるが,世間一般から中国歴史小説の専門家と勘違いされ,デビュー以降,中国小説の執筆依頼しかこないと嘆いているとか。
- 作者: 酒見賢一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1993/04/25
- メディア: 文庫
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全話,ギャグまみれで,面白いのですが,いかんせん長かった。文章で笑わせようとする小説は,短編が良いなとおもっているので,一冊500頁以上あって読むのに苦労しました。でも面白かったです。作者独自の歴史観ってものがあって面白かったです。
三国志は戦前から中国古典で有名で,戦後,日本では吉川英治の大河小説として大ヒット。その後,三国志は,北方 謙三 ,宮城谷 昌光,陳 舜臣が小説化したり,横山光輝が漫画化したり,Koeiがゲーム化したりと多方面で商品化された人気コンテンツです。それぞれで三国志の解釈が色々異なるために,日本にはいろいろなストーリーの三国志がある。さらに,中国に目を向けると,陳寿が書いた三国志(歴史書)を底本としてさまざまな注釈書や小説がある。三国志って共通の名前を持つのに,中身の違う三国志が無数に存在する。
作者は,小説の中で,量子力学論的中国歴史論を展開する。量子の状態は観測されたことによってその状態が固定さる。中国の歴史もまた,後世から観察されることで定まるなっていう。まさに,日中関係の中国は歴史認識の問題である。中国にとって,歴史は解釈し,認識するものだから,共通の事実なんてどうでもいいといいはる。そう,まさに中国の歴史には量子力学的並行宇宙の中にあって多数存在するのである。だから,三国志は色々な解釈があって面白い。
本作では,劉備の解釈の仕方が面白い。その場で,大見得切るだけで何も考えていなくて,ひたすら周囲に不幸をまき散らし,中国の混乱の大型台風の目劉備玄徳。次回の活躍が気になります。早く文庫版で3巻が出て欲しいです。