海街diary2 真昼の月 感想

吉田秋生の海街diary2が出てたので買っちゃいました.

あらすじ

鎌倉に住む四姉妹の話で「花底蛇」「二人静」、「桜の花の満開の下」、「真昼の月」の四つの短編が載ってました.
 前3編は末っ子の"すず"の思春期の多感な少女の視点から、最後の「真昼の月」は長女の"幸"のなかなか人に相談できないで悩む大人の視点から語られる話です。

花底蛇

「花底蛇」は"すず"と二番目の姉の元彼"朋章"の話.「花底蛇」とは「美しい物の下には恐ろしいものが潜んでいる」って意味だと作中で語られてる.一見平穏そうな人でも人間の暗い感情や過去を持っていることを暗示している.裕福で幸せそうに見える"朋章"の家庭に問題があり、それに彼も悩んでいたが、今はやりたいことを見つけ前に進もうとしている.彼の決意を聞いて、"すず"も共感する.

 最後の方で"朋章"が 「君だっていろいろなものを棄ててここにきたんでしょ 自分の中のなにかがGOサインを出す そういう瞬間てあると思わないか?」って言うんだけど、家族の死とか、学校卒業して友人との別れとか、若さとか時の流れとともに何もしなくても何か棄てないといけない時って来るよね.何かのために棄てるのと、何もしないのに失うのって全然違うよね.前向きに生きるってのは、ただ日々楽しいと楽天的にいるのではなく、何か目標に向かって生きることを指すんじゃないかなと考えちゃいました.今になって思うのは僕の先生が「10年後には何をしているのか考えて、今やるべき事を考えろ」なんていわれたのが身にしみます.

"朋章"の実家と"すず"の実家の庭の対比が良かったです.花を飾っていて一見綺麗ながらも季節感のない無機質な庭と、祖母の代から家族で手入れされてきたぬくもりある庭の対比は、故郷や家庭の温かみを伝える小道具として使われていたのかな?

二人静」、「桜の花の満開の下」

二人静」、「桜の花の満開の下」は"すず"の周りの恋愛話を中心とした人間関係のお話.

真昼の月

真昼の月」は長女"幸"の抱える問題と、母と"幸"の話."幸"の母は夫と離婚後、娘達を鎌倉に置いて札幌で別の男性と再婚.祖母の法要のために帰ってくる母のだが、妹達の保護者として家族を支えてきた"幸"には自分達を棄てていった母が許せないでいたって話です.
 月は夜に煌々と光るもので昼に在るもんじゃないと常識的に思っちゃうけど日中も空にあるんだよね.「真昼の月」ってのは、自分の常識的な考え方も、他人から見れば全然違うかもしれないって意味だと思う.視点を変えれば今まで受け入れられなかったことも、何とか納得できるという話だと思った.




海街diary 2 (2) (フラワーコミックス)

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著者:吉田 秋生
出版社:小学館
出版日:2008-10-10

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