【花もて語れ】3巻感想

花もて語れ 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

花もて語れ 3 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)

朗読を通して成長する,引っ込み思案は少女ハナの朗読青春ストーリー。
 今回は,斎藤隆介の「花咲き山」の朗読です。斎藤隆介は,童話及び絵本の新分野を開拓し,民話ブームを引き起こした戦後最大の童話作家で,その作風は,生と死のはざまで揺れ動く主人公を書くことで,人間が根源的にもっている情念・愛情からほとばしる生の尽きぬエネルギーに満ちあふれています。今回の花咲き山も情念や愛情のこもったストーリーですが,私は,所見では「花咲き山」はものすごく怖い話だと思ってました。山に捨てられた老婆が,どんな辛いことがあっても元気に生きろと子供を諭している話で,達観した人生論を展開し,なにか終末思想を感じさる作品だとかんじていました。
 それが,全く違うものだと分かり,それだけでも読んでよかったおとおもいます。登場人物の再度ストーリーをからめることで,読者の感情移入を誘い,イイハナシダー (T-T)と感じさせる作者の手腕には圧巻されました。