大東京トイボックス3巻 感想

東方じゃないのね.

 待ちに待った東京トイボックスの3巻が先週発売されました.休載が長かったので次に開発するゲームは萌え×燃えのシューティングゲームと決まって"東方"のような弾幕シューティングだと期待してたのですが、開発するゲームは視点切り替え方横シューティングで、これはこれで面白そうです.作中に登場するゲームのムービーシーンはどっちかというとスグリを連想させるような絵柄でした.

ただのゲーム業界漫画じゃない

 大東京トイボックスはどちらかというとゲーム業界漫画というよりはお仕事漫画って感じですがやはりゲームを作る漫画.ゲーム好きな人なら楽しめると思います.
 僕も小さい頃ゲーム少年でした.友達の家に集まって一日中ファミコンをしていた時代が懐かしいです.一日中やっても飽きなかった.それだけ好きだったから、小さい頃は、自分の面白いと思ったアイデアを形にし、作った作品に多くの人から支持されるゲームを作れるゲームプログラマーって職業は、きっと楽しいだろうと憧れてました.大人になってもゲーム好きは直っておらず、今だにゲームを作れる人は純粋に尊敬します.ゲーム業界に進めばもう少し人生もう少しやりがいがあったんじゃないかなと想像することもあります.
 そんな、ゲーム業界に少し抱けでも憧れた人に読んで欲しいのが「大東京トイボックス」です.子供の頃にゲーム業界に憧れた少年が、そのまま大人になってもゲーム業界のなかで自分の作りたいゲームを作ろうと突っ走ろうとする漫画.
 全く先の見えないバグ探しとその修正作業、納期と資金に縛られた開発環境、とりあえず目先の資金を得るための小さなパチスロのゲーム開発、そして大手企業からの重圧.憧れと現実とはかけ離れているが、厳しいゲーム開発という職場環境の中での人間物語がこの漫画の魅力です.

 3巻では主人公達キャラが所属する弱小ソフトメーカーG3が最大手ソフトメーカーソリダスが主催する共同開発事業「SOUP」で、新鋭ソフトメーカー電算花組みとタッグを組んで開発資金を分捕るためのソフト開発がスタートする.
 電算花組はキャラクターや世界観の設定とムービーの作成を、G3がゲームエンジンの開発を分担して、共同戦線を張るけどもうまくチームワークが取れるのか?

 三巻では若手プログラマーのマサにスポットが当ります.太陽に憧れるモモの前で太陽の度肝を抜くような仕事をしてやると意気込み、ゲームの基幹部分となるゲームエンジンの開発に名乗りを上げる..ライセンス料の問題から社内では使用しないと決めたプログラミングソフトを勝手に使用し暴走する.
 好きな女の子の気を引こうと思い、自分の能力を過信していつも以上の量の仕事をこなそうとするも、結局空回りて失敗する.
 周りに仕事のしわ寄せが…そして、G3のチームワークはガタガタになり、電算花組とG3の信頼関係にもヒビ入っちゃう.花組の半田が「ち」で始まる丸いものはという問いに「チームワーク」と答えたのが象徴的です.
 
 仕事が少し出来るようになってから、俺は凄く優秀なんだって勘違いして、自分の能力を周りにやつらに分からせてやと頑張りが空回りして仕事が失敗するってのはよくあるじゃないのかな?自分はしょっぱなの仕事で似たようなことやっちゃいまして、.上司が火消しのために得意先を回るような状態にいたっては胃が締め付けられたのを思い出します.

 そんなわけで、大東京トイボックスはゲーム業界漫画でありながら、普通の仕事漫画として読んでも大変面白作品だと思います.