【花もて語れ】1巻感想

 朗読を題材にした漫画。
 あまりに期待していなかったが,ものすごく面白かった。
 この作品は,内気で,人と喋れない女の子の”はなちゃん”が朗読を通してしか人に,人と喋られるようになったり,人に感動を与える話です。
 朗読てなんだ?ただ声を出して読むだけじゃないのか?そんなの小学生でもできるぞと思ったのですが,そうではない。朗読の奥深さが,この漫画では描かれている。

 黙読とは違うのだよ、黙読とは。
 黙読だと,その場雰囲気がわからくても,なんとなく読めてしまう。しかし,朗読だとそうはいかない。

朗読では,いつ・どこで・誰が・誰に・どんな気持ちで・どんな状況にあるのかを考え, その場面状況のイメージをキッチリ固めておかないと,それにあった声色・感想を選択できない。

「黙読だと多くの人はそれがわからなくても読んでしまう
わからなくても先を読めばそのうちわかるだろう、とか、
わからなくてもあらすじがわかればそれで良いかと思って・・・」

これには,自分も思い当たる節がある。とりあえず,目で文字をながめているだけで,内容が全く頭に入っていないとか、推理小説で事件の始まりと結末だけしっかり読んで満足するとか、こんなことがしばしばある。

 それとは正反対に,朗読では,その場の状況を詳細にイメージする必要がり,黙読とくらべてずっと作品を理解していないといけない。そういった,意味では,作者がどういった感情で書いていたまで考える必要がある。感情の丈をぶちまけて声に出す朗読は,凄く熱い!

 一巻では宮沢健二の”やまなし”を朗読する。
やまなしは,国語の教科書にほぼ載っている”くらむぼん”で有名な詩です。小学生のことは,”くらむぼん”てなんだよって,よく友達と話題にしていました。今でも,この詩をよんでもチンプンカンプンで何について書いているのか理解していませんでした。
 ほとんどの人が内容をよくわかっていない詩だと思います。この漫画ではこの詩の内容を朗読って手段で上手く説明しています。漫画だと当然,声は聞こえません。その代り絵によってイメージを視覚的に伝えてます。
 朗読によって補われている部分に絵を当てはめているのです。しかも,それが結構分かりやすい。
 漫画のなかの世界の人と同じような感じで,宮沢健二の世界に入ってします。
 今になって,この詩はこんな解釈をすればよかったのかと感動しました。読んだらみんなそう感じると思います。
 

 朗読を聞いている人が,ややオーバーリアクションに描かれていますが,この漫画を読んでいたらそうなります。朗読がめっちゃ熱です。