つらつらわらじ3巻感想

 岡山の熊田藩の藩主・熊田治隆の参勤交代に付き従う、新人家老新人家老熊田和泉と、御庭番倉地久太郎の江戸行きの道中を描いた漫画である。
 漫画の登場自分物は、二頭身で線の少ないデフォルメ化したキャラクターで描かれている。簡略化されたなかにも、個々のキャラクターは、そのデザインに情報が詰め込まれた記号化されている。ストーリーの中から、熊田を通して、熊田和泉と倉地久太郎の存在が浮かび上がり、感情移入しやすくなっている。
 ほとんど表情がないく、何を考えているのか分からない藩主熊田治隆の行動に熊田和泉や倉地久太郎は終始振り回されることになる。一七話の「好かぬもの」で、藩主熊田の行の理由が、近習から熊田和泉に興味深いエピソードとして語られる。そのシーンでふと、面白いエピソードだな、もっと藩主の幼少のエピソードが出てこないかたとふっと読んでいて思ったら、次の熊田和泉にもっと藩主の事を知りたいという描写があり、見事、読んでいて思考が熊田和泉とシンクロしていた。こういうふうに、よってこれまで謎に包まれていた藩主の情報を小出しにすることで、劇中の人物に読者を感情移入させる方法は、凄いなと感じた。
 中盤以降は、御庭番と潜入して久太郎にスポットが当てられる。特に中盤部の藩主に呼び出された部分では、今後のの展開がどうなるのかハラハラされられる。あまり描くとネタバレになるので、これにて。

つらつらわらじ(3) (モーニング KC)

つらつらわらじ(3) (モーニング KC)